遺言書の日付はなぜ必要?「令和○年○月吉日」は無効になる?

自筆証書遺言を作成するときには、本文だけでなく「日付」の書き方にも注意が必要です。

たとえば、

「令和8年8月吉日」

と書いた自筆証書遺言は、有効でしょうか。

実は、このような日付の書き方をした自筆証書遺言は、原則として無効となります。

「何月に書いたのか分かるのだから大丈夫では?」

と思われるかもしれませんが、遺言書の日付には大切な意味があります。

今回は、自筆証書遺言の日付について分かりやすくご説明します。

自筆証書遺言には日付が必要です

自筆証書遺言について、民法では一定の方式が定められています。

遺言者は原則として、

遺言書の全文・日付・氏名を自書し、押印する

必要があります。

※財産目録については、自書によらない方法が認められる場合があります。

つまり、日付は単なる記録ではなく、自筆証書遺言を有効に作成するための重要な要件の一つです。

「令和8年8月吉日」ではなぜいけない?

自筆証書遺言の日付は、遺言を作成した日を特定できるように記載する必要があります。

そのため、

「令和8年8月吉日」

では、8月の何日に遺言書を作成したのか特定することができません。

このような日付を記載した自筆証書遺言については、最高裁判所も無効と判断しています。

自筆証書遺言を作成するときには、

「令和8年8月18日」

のように、作成した日を明確に記載しましょう。

なぜ遺言書の日付が重要なの?

日付が重要な理由の一つが、複数の遺言書が見つかった場合です。

遺言書は、一度作ったら変更できないものではありません。

気持ちや家族関係、財産の状況が変われば、遺言者は遺言を撤回したり、新しい遺言書を作成したりすることができます。

そのため、亡くなった後に、

「遺言書が2通見つかった」

ということもあります。

このような場合、いつ作成された遺言書なのかを確認する必要があります。

新しい遺言書があれば、古い遺言書は全部無効になる?

新しい遺言書が見つかったからといって、以前の遺言書がすべて自動的に無効になるわけではありません。

民法では、前の遺言と後の遺言の内容が抵触するときには、抵触する部分について、後の遺言によって前の遺言が撤回されたものとみなされます。

たとえば、

1通目の遺言書

「自宅を長男に相続させる」

その後、

2通目の遺言書

「自宅を長女に相続させる」

と書いた場合、この2つの内容は両立しません。

そのため、自宅については後から作成された遺言の内容が優先することになります。

一方、前の遺言と後の遺言で内容が抵触していない部分については、前の遺言がそのまま効力を持つ場合があります。

遺言書を書き直すなら、全部作り直した方が分かりやすい

遺言書は何度でも見直すことができます。

しかし、

「自宅についてだけ変更する」

「預貯金についてもう一度遺言書を書く」

というように、変更するたびに遺言書を追加していくと、亡くなった後に複数の遺言書が残ることになります。

そうすると、残された家族は、

「この部分はどちらの遺言が有効なのか」

「前の遺言のこの部分はまだ有効なのか」

と、一つずつ確認しなければならなくなることがあります。

そのため、遺言内容を大きく変更するときには、以前の遺言を撤回する旨を明確にしたうえで、現在の希望を一つの新しい遺言書にまとめ直す方法が分かりやすいでしょう。

遺言書は後から撤回することができます

一度遺言書を書いたからといって、その内容に一生縛られるわけではありません。

遺言者は、生前であれば遺言を撤回することができます。

新しい遺言によって以前の遺言を撤回する方法もあります。

また、遺言者が故意に遺言書を破棄した場合など、法律上、遺言を撤回したものとみなされる場合もあります。

ただし、遺言書の種類や保管方法などによって注意点があります。

「昔作った遺言書の内容を変えたい」という場合には、古い遺言書をそのまま残して新しいものを追加するだけではなく、遺言全体を見直すことをおすすめします。

日付だけでなく、自筆証書遺言には決められた方式があります

自筆証書遺言は、自分一人で作成できる遺言書です。

手軽に作成できる一方で、民法で定められた方式を守っていないと、せっかく作った遺言書が無効になってしまう可能性があります。

特に、

「内容さえ分かれば大丈夫」

というものではないことに注意が必要です。

日付、氏名、押印、自書の方法など、法律上の要件を確認しながら作成する必要があります。

せっかく残した遺言書を無駄にしないために

遺言書は、ご自身が亡くなった後に初めて使われるものです。

そのときには、遺言を書いた本人に、

「これはどういう意味ですか?」

「本当はいつ書いたのですか?」

と確認することはできません。

だからこそ、遺言書を作成するときには、内容だけでなく、法律で定められた方式を守って作成することがとても大切です。

ハートフルサポート行政書士事務所では、ご本人のお気持ちや財産、ご家族の状況をお伺いしながら、遺言書作成のお手伝いをしています。

「自分で遺言書を書いてみたけれど、これで大丈夫だろうか」

「以前作った遺言書を書き直したい」

そのようなご相談にも対応しております。

大切な思いを残した遺言書が、きちんとご家族へ伝わるよう、一緒に内容を整理していきましょう。

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