相続人以外の人に自分の財産を譲りたいとき
「長年お世話になった人に財産を遺したい」
「相続人ではない親族に自宅を譲りたい」
「自分の財産の一部を、親しい友人やお世話になった方に渡したい」
このように、法律上の相続人ではない人に自分の財産を譲りたいと考えることがあります。
しかし、何もしないまま亡くなった場合、原則として財産は法律で定められた相続人が相続することになります。
相続人以外の人に財産を渡したい場合には、生前にきちんと準備しておくことが大切です。
主な方法として、次の3つがあります。
- 生前贈与
- 死因贈与
- 遺言による遺贈
それぞれの違いを見ていきましょう。
① 生前贈与
生前贈与とは、生きている間に自分の財産を相手に贈与する方法です。
贈与は、「財産をあげます」という人と、「もらいます」という人の双方の意思によって成立する契約です。
生前贈与のメリット
大きなメリットは、自分が元気なうちに、確実に財産を渡すことができることです。
実際に相手が財産を受け取ったことを、自分自身で確認することができます。
生前贈与の注意点
一方で、財産を渡しすぎてしまうと、自分自身の老後の生活資金が不足する可能性があります。
また、贈与する財産や金額によっては、贈与税や不動産取得税、登録免許税などの負担が生じることもあります。
「今、渡してしまっても将来困らないか」という点まで考えて決めることが大切です。
② 死因贈与
死因贈与とは、
「私が死亡したら、この財産をあなたに贈与します」
という内容の契約です。
生前贈与と同じく「贈与契約」ですので、財産を渡す人と受け取る人との合意によって成立します。
ここが遺言との大きな違いです。
負担付死因贈与という方法もあります
例えば、
「自分が亡くなるまで介護や身の回りの世話をしてもらう代わりに、死亡後に自宅を贈与する」
といった一定の負担を条件とする契約を結ぶこともできます。
これを負担付死因贈与といいます。
ただし、死因贈与は契約ですので、特に相手がすでに一定の負担を履行している場合などには、自由に撤回できるとは限りません。
後日のトラブルを防ぐためにも、契約内容を十分に検討し、書面にしておくことが重要です。
③ 遺言書を作成する
相続人以外の人に財産を遺す方法として、よく利用されるのが遺言書です。
遺言によって相続人以外の人に財産を譲ることを「遺贈」といいます。
例えば、
「自宅の土地・建物を、長年自分の面倒を見てくれた○○さんに遺贈する」
といった内容を遺言書に記載することができます。
遺言書のメリット
遺言の大きなメリットは、自分の意思で内容を変更したり、撤回したりすることができることです。
一度遺言書を作成した後でも、事情や気持ちが変われば、新たな遺言を作成することができます。
また、生前贈与とは異なり、生きている間は自分の財産として持ち続けることができます。
老後の生活資金を確保しながら、亡くなった後の財産の行き先を決められることも、遺言の大きな特徴です。
遺言執行者を決めておくことも大切です
せっかく遺言書を作成しても、亡くなった後にその内容を実現する人がいなければ、手続きがスムーズに進まないことがあります。
そこで、遺言書を作成するときには、「遺言執行者」を指定しておくことも検討しましょう。
遺言執行者は、遺言の内容に従って必要な手続きを行う人です。
特に相続人以外の人へ財産を遺贈する場合には、遺言執行者を指定しておくことで、その後の手続きを進めやすくなることがあります。
相続人の「遺留分」にも注意しましょう
相続人以外の人に財産を遺す場合、もう一つ注意したいのが遺留分です。
遺留分とは、一定の相続人に法律上保障されている最低限の取り分です。
配偶者、子、直系尊属(父母など)には遺留分がありますが、兄弟姉妹には遺留分がありません。
そのため、兄弟姉妹や甥・姪だけが相続人となる場合には、遺言によって相続人以外の人に全財産を遺すことも可能です。
一方、配偶者や子など遺留分を持つ相続人がいる場合には、遺言の内容によっては、亡くなった後に遺留分侵害額請求が行われる可能性があります。
「遺言書に書けば、それですべて解決する」と考えるのではなく、誰が相続人になるのか、遺留分を持つ人がいるのかを確認したうえで遺言内容を考えることが大切です。
どの方法がよいかは、ご事情によって異なります
相続人以外の人に財産を譲る方法には、生前贈与、死因贈与、遺言による遺贈などがあります。
どの方法が適しているかは、
- 誰に財産を渡したいのか
- どの財産を渡したいのか
- 法定相続人は誰なのか
- 遺留分を持つ相続人がいるのか
- 自分自身の老後の生活資金は十分か
などによって変わります。
大切なのは、「自分が亡くなったら、きっとこの人が受け取ってくれるだろう」と考えるだけで終わらせず、自分の意思をきちんと形にしておくことです。
当事務所では、ご希望やご家族の状況をお伺いしながら、遺言書の作成など、将来の相続に向けた準備をサポートしております。
「相続人ではない人に財産を遺したいけれど、どうすればよいかわからない」という場合も、お気軽にご相談ください。

