遺言の種類:普通方式について

遺言は、自らの亡き後にその文書をもとに遺産を分ける力をもつ(法的効力をもつ)ので法律に定める方式に従う必要があります。

まず、ここでは「遺言の種類」についてお話しましょう。

大きく分けて「普通方式」と「特別方式」の二つがあります。

  • 普通方式(3種類) 
  • 特別方式(4種類)

私たちが知っておく必要があるのは「普通方式」についてです。

普通方式には3種類あります。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

秘密証書遺言は、あまり一般的な遺言ではありません。

自筆証書遺言と公正証書遺言の短所を合わせてしまったのではないかという指摘もあります。

したがって、ここでは「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」についてお伝えします。

自筆証書遺言

遺言者自らが、その全文、日付および氏名を手書きし、押印します。

遺言者本人が作成しますので、手軽で安価ではありますが、法律にかなった形式や文章が作成できるかについては難しい一面もあり、紛失など保管上の問題もあります。

また、署名が自筆であってもパソコンなどでタイピングされたものは無効となります。

「自筆証書遺言」の方式の特徴

  • 全部を自分で書く
  • 日付を書く
  • 署名する
  • 印を押す

全部を自分で書くことが求められますので、代筆は許されません。

もちろん、パソコンなどをつかってタイピングしたものも無効となります。

ただし、平成31年1月より自筆証書遺言に「財産目録」を添付するときは、財産目録はタイピングでよいということになりました。ただし、その目録のすべてのページに署名と押印が必要となりますので、注意が必要です。

そして令和2年7月より法務局で自筆証書遺言の保管制度が始まりました。

※自筆証書遺言の保管制度につきましては、こちらをご覧ください。

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

長所と短所

  • 手軽で、いつでも作成できる(コストがほとんどかからない)
  • 紛失や無効になる恐れがある
  • 家庭裁判所による検認の手続きが必要
    ただし「自筆証書遺言書保管制度」を利用すれば家庭裁判所による検認は不要

公正証書遺言

遺言者が2人以上の証人の立会いをつけて、遺言の内容を口頭で伝えます。これを公証人が筆記し、その内容を読み聞かせて、筆記の正確なことを承認したうえ、署名して押印するものです。 したがって、代理人が行うことはできません。

実務上は、あらかじめ公証人に遺言の内容を記載した書面やメモを提出しておき、それをもとに公証人がそれをもとに事前に作成しますので、当日、遺言の内容を口頭で伝えることは省略される 場合が多くあります。

また、言葉が不自由な人や耳が聞こえない方も、通訳人の手話や自分で筆記した書面で公正証書遺言が作成できるようになりました。

長所と短所

公正証書で遺言が作成され、公証人の手で保管されるので安心です。

他人に遺言内容を知られてしまう、手間とお金がかかるというデメリットがあります。

 

行政書士は遺言の原案作成のお手伝いをするときは、財産や親族関係について聞き取りをさせて頂き、現状の調査を行います。また、二人の行政書士が立会人になることもできますので、遺言の内容を知られて困るといったことは実際にはあまり心配する必要はありません。

ただ、原案作成費用としては調査費用、当日の立会人費用などが加味され、それ以外にも公証人役場に支払う手数料などが発生しますので、平均30万円~60万円くらいの予算を見ておく必要があります。

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遺言を書く場合は、どのような遺言を選ぶにしても冷静に、法律的評価に耐えるようにしっかりとしたものを書かねばならないということです。

当たり前のことを当たり前に、わかりやすく、確実に書くということです。

遺言は、故人の心配や家族のもめ事を防げる心強い手段です。

最後の自己実現であると考えれば費用は高額でありますが、「公正証書遺言」が良いでしょう。

ただ、自筆証書遺言をいかに無効にならぬように書けるようにするかにも関心が高まっておりますので、専門家のアドバイスを受けながら作成するのも一つの方法です。

もちろん、家族関係が複雑な方、資産が多い方、特別な事情がある方など、当初より紛争が目に見えているような方は、作成費用が高額となっても公正証書遺言を作成すべきであると思います。

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