自筆証書遺言の無効について
家庭裁判所の検認は、遺言の無効の判断をするわけではありません。
法務局の制度を利用し遺言書の保管をお願いする場合も
方式のチェックはしてもらえますが、遺言の内容が無効かどうかの判断はありません。
遺言の無効判決は、ほとんどが自筆証書遺言でおこります。
公正証書遺言も時には無効の判決が出ると聞いたことはありますが
法律のプロである公証人が最終作成をするものなので
よほどのことがない限り無効は起こりえないでしょう。
それでは、どのようなことで無効になるのでしょうか。
まず、方式に反している遺言は無効となります。
自筆証書遺言作成時、次の点をチェックしてみてください。
☑ 遺言者が自筆で遺言を作成したか
平成31年1月から、財産目録だけはタイピングが可能となりました
ただし、別紙で作成する場合は、各ページに自署と押印が必要です。
☑ 遺言者が書くときに手が震えるなどを理由に、他人が添え手などをして遺言書を書いていないか
手が不自由で自分で文字が書けない方は、自筆証書遺言を作成できません。
☑ 日付は 「令和〇年〇月〇日」「2022年〇月〇日」のように明確に記載したか
西暦や元号の部分が抜けたもの、日にちを、吉日などとしたものは無効となります
☑ 自署と押印はあるか
遺言書が複数枚にわたるときは、すべてのページに自署と押印が必要です。
両面に書いた場合は、両面に自署と押印する必要があります。
☑ 加除訂正方法は間違っていないか
変更する場所を指示し変更した旨を記載し、その場所に署名した上
その変更場所に押印が必要です。間違ったところを黒く塗りつぶす等の行為は、本人がしたのか
第三者がしたのか、疑問を残しますので無効となります。
☑ 遺言を夫婦、親子など共同で作成していないか
遺言書は、連名で作成することはできません。単独での作成が求められます。
☑ 鉛筆や消えるペンで書いていないか
その他、封筒に入れるのか、入れないのかという問題があります。
法務局の保管制度を利用される方は、封筒は不要です。
また、紙のサイズもA4と決まっていますので、注意をしましょう。
自宅などで保管をする方は、封筒に入れておくのがいいでしょう。
ただし、遺言とわかるように封筒には「遺言書」と大きく書くなど
破棄されたりしないように工夫をしましょう。
封印するかどうかですが、検認の問題が生じます。
勝手に封を開けられないように
(家庭裁判所での検認が必要な旨)一言書いておくのもいいのかもしれません。
家庭裁判所の許可なく開封した場合は、5万円以下の過料がかせられることがあります。