法律上の遺言
「法律上の遺言」とは、言いかえれば
「法律的評価に耐えうる遺言」ということになります。
まず、枕元に録音機を置いて録音した故人の言葉は
ここでいう「遺言」に入りません。
それでは、本人が映っているビデオ(動画)もダメです。
なぜかというと、民法で定められた「遺言」の方式にのっとっていないからです。
民法の第七章(960条~1027条)には「遺言」について定められています。
民法において「遺言」について定められた最初の条文である
960条に「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。」
とあります。
その他、「遺言」に求められる条件
- 書面による
- 心神喪失の状況にあれば遺言はできない
- 意思能力の持たない者の遺言は無効
- 満15歳に達した者
これを踏まえると「録音」や「動画」に残された故人の言葉は
960条の法律に定められた方式に従ったものではないことがわかります。
また、15歳になれば自分の意思で遺言を残せるということは
初耳の方も多いかもしれません。
これらの条件は、遺言ができる人や形式についてですが
内容としての法律上の遺言とは、「財産についての指示」が主です。
それ以外に若干の事項が含まれます。
例えば、認知、相続人の廃除、祭具等の承継がこれにあたります。
そして、遺言は法律的な力を持ちます。
たとえ気まぐれで書いてしまった遺言だとしても、
遺言者の死後、効力を発揮してしまいます。
だからこそ、無効な遺言であると相続人の誰かが争い等を起こすこともありえることです。
遺言の持つ法的効力をうまく生かし
円満な相続につなげられるようにしっかりと知識を積み上げていきましょう。
民法は2020年に大改正されました。
相続についても大きく改正されています。
「相続や遺言についての本を読んでみたい」という方は
改正民法の内容が反映されたものを選ぶようにして下さい。