遺言書がない場合に起こりえること

家族みんな仲がいいから大丈夫。

遺言書を書くほどの財産もないのにわざわざ・・・

仲の良い家族であったとしても、お金を前にすると争いが起きてしまうのが相続です。

また、親の介護について子どもの間でもめ事や不満が出た場合

円満な相続は期待できなくなるという現実もあります。

遺言の必要性に気が付き、遺言書のある相続は年々増加傾向にありますが、

それでも遺言による相続は全体の1割にも満たないのではないかと言われています。

ここでは「遺言がなかった場合に起こりえること」についてお伝えしたいと思います。

まず、遺言のない相続ということは、遺産分割協議による相続ということになります。

この遺産分割協議による相続は、相続人全員の同意、

そして、不動産の名義変更などには、相続人全員の実印と印鑑証明書の提出が必要となります。

  • 時間

遺産分割がまとまらず、遺産分割されるまでに何年もかかることがある

  • 遺産の処分

遺産分割が終了するまでの間、相続人全員で財産を共有することになるため、勝手に処分ができない

  • 被相続人などの意向

法定相続分にしたがった遺産分割が行われるため、被相続人と不仲であったり

付き合いがなかったといった遺族に財産が渡ったり、財産を渡したかった人に渡せないことが起こる

それでは、もう少し詳しく見ていきましょう。

まず、時間についてですが相続人全員の同意が必要ですので

遺産分割までに長い年月を要することがあります。

長い時間をかけてでも、全員の同意が得られれば良いのですが、

協議の結果、話し合いがうまくいかないこともよくあることです。

その場合は、

家庭裁判所に調停の申立てを行うことになります。

そこで、話し合いが成立しなかった場合は

家庭裁判所での審判になり、裁判官が妥当な分割方法を決定することになります。

また、裁判所の決定に不服がある場合は

高等裁判所へ不服申立てを行うことになります。

このようなことになると、さらに時間を要すだけではなく

過大な労力も費用も必要なってきます

次に、遺産の処分についてですが

相続税の申告と納税は、遺産分割の成立の有無に関わらず、

相続開始を知った時から10カ月以内に行わなければなりませんが、

預貯金の払い戻しができないことで、その相続税の支払いができなくなることもあります。

最後に被相続人の意向についてですが

遺言がない場合、原則、法定相続分にしたがった相続となります。

被相続人と疎遠になっていたとしても、不仲であったとしても、

法定相続人であれば、遺産が分割されます。

兄弟姉妹には遺留分がありませんので、

遺言により、兄弟姉妹に財産が渡らないようにすることができますが

遺言がなければ、兄弟姉妹に相続されることになります。

その兄弟姉妹が既に死亡している場合は、その子(甥や姪)に相続権があります。

遺言がなければ、相続人の思いとは違う相続が行われる可能性があるだけでなく

付合いのない人への財産分のために、長年住んできた家を手放すなどのことが起こることもあります。

特にお子さまがいらっしゃらないご夫婦は

相続人が配偶者のみと勘違いをされている方が大勢いらっしゃいます。

兄弟姉妹、死亡している場合は甥や姪にまで相続権がありますので

そのような相続を望まない方は

「全財産を配偶者に相続する」といった内容の遺言を書いておくことが必要です。

このように、遺言書があれば問題にならなかったことが、

遺言書がなかったために起こることがあります。

ぜひ、遺言の大切さをもう一度考えていただければと思います。

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