相続登記は義務化後どれくらい増えた?法務省の統計から現在の状況を解説
令和6年(2024年)4月1日から、不動産の相続登記が義務化されました。
それでは、義務化を受けて、実際にどれくらいの方が相続登記を行ったのでしょうか。
法務省は「登記統計」において、相続登記の件数を公表しています。今回は、法務省が公表している数字をもとに、相続登記の現在の状況についてご説明します。
相続登記の件数は年々増えています
法務省の公表資料によると、相続登記の件数は次のように推移しています。
| 年度 | 相続登記の件数 |
|---|---|
| 令和2年度 | 1,137,096件 |
| 令和3年度 | 1,236,875件 |
| 令和4年度 | 1,361,757件 |
| 令和5年度 | 1,502,709件 |
| 令和6年度 | 1,554,881件 |
令和2年度には約114万件だった相続登記が、令和6年度には約155万件まで増加しています。
令和2年度と令和6年度を比較すると、約42万件、割合にして約37%の増加です。
相続登記の義務化が決まったことや、制度の周知が進んだことにより、長期間そのままになっていた不動産の相続登記を進める方が増えていることがうかがえます。
義務化後も相続登記の増加が続いています
法務大臣は、令和7年(2025年)4月の記者会見において、相続登記の件数について次のように説明しています。
- 改正法が成立する前の令和2年度は約114万件
- 令和5年度には150万件を超えた
- 令和6年度は、同年12月末までの9か月間で約120万件
- 令和6年度の4月から12月までの件数は、前年の同じ時期と比べて約9%増加
その後に公表された令和6年度の年間の数字では、相続登記の件数は1,554,881件となりました。
義務化が始まる前から相続登記は増加していましたが、令和6年4月の義務化後も増加傾向が続いていることが分かります。
約155万人が相続登記をしたという意味ではありません
ここで注意したいのは、公表されている数字は、相続登記を行った「人数」ではなく、「登記の件数」であるという点です。
1人の相続人が複数の土地や建物を相続することもあります。また、1件の相続について、複数の不動産の登記が行われる場合もあります。
そのため、
「令和6年度に約155万人が相続登記をした」
という意味ではありません。
正確には、
「令和6年度の相続登記の件数は約155万件だった」
と理解する必要があります。
相続登記が何%完了したかは公表されていません
相続登記の件数が増えている一方で、相続登記が必要な不動産のうち、全国で何%の手続きが完了したかという「完了率」は公表されていません。
また、現在も相続登記がされていない不動産が全国にどれくらい残っているのかについても、正確な総数は明らかになっていません。
法務局の登記記録だけでは、登記名義人がすでに亡くなっているかどうか、相続人が不動産の取得を知っているかどうかなどを、すべて把握することが難しいためです。
したがって、相続登記が約155万件行われたからといって、未登記の不動産がどの程度解消されたかまで判断することはできません。
過去の相続についても登記が必要です
相続登記の義務化は、令和6年4月1日以降に発生した相続だけを対象とするものではありません。
令和6年4月1日より前に亡くなった方の不動産についても、相続登記が済んでいなければ義務化の対象になります。
義務化が始まる前から不動産を相続したことを知っていた場合は、原則として、令和9年(2027年)3月31日までに相続登記を申請する必要があります。
例えば、次のような場合は注意が必要です。
- 祖父母や両親の名義のままになっている土地や建物がある
- 固定資産税は支払っているが、登記名義を確認していない
- 親族間で話合いがまとまらず、そのままになっている
- 亡くなった方の名義のまま、さらに次の相続が発生している
- 自宅以外に山林、農地、私道の持分などがある
固定資産税を納めていても、法務局で相続登記が完了しているとは限りません。心当たりがある場合は、登記事項証明書を取得して、現在の名義を確認することが大切です。
期限が近づく前に手続きを始めましょう
過去の相続では、相続人を確定するために古い戸籍を収集したり、多くの相続人と連絡を取ったりしなければならない場合があります。
相続後にさらに別の相続が発生している「数次相続」では、相続関係が複雑になり、手続きに時間がかかることもあります。
令和9年3月31日の期限が近づくと、法務局や司法書士などへの相談が増えることも予想されます。
「古い相続なので、今さら手続きできないのでは」と思わず、早めに不動産の名義と相続関係を確認しましょう。
まとめ
法務省の統計によると、相続登記の件数は、令和2年度の約114万件から、令和6年度には約155万件まで増加しています。
義務化や制度の周知によって、相続登記を進める動きが広がっていることがうかがえます。
ただし、この数字は相続登記を行った人数ではなく、登記の件数です。また、相続登記が必要な不動産のうち、全国で何%の手続きが完了したのかを示すものでもありません。
過去に発生した相続も義務化の対象です。祖父母や両親名義の不動産が残っている場合は、令和9年3月31日の期限を待たず、早めに確認することをおすすめします。
当事務所では、戸籍の収集、相続人の調査・確定、相続関係説明図や遺産分割協議書の作成などをお手伝いしています。
相続登記については司法書士と連携して進めることもできますので、何年も前の相続や、相続人が多い場合についてもお気軽にご相談ください。
参考資料
※本記事は、令和8年(2026年)9月時点で公表されている資料に基づく一般的なご案内です。個別の相続における期限や必要な手続きについては、相続関係や不動産の登記状況によって異なる場合があります。

